成長ホルモン治療の副作用診断と治療

気になる症状があらわれたら医師に相談しましょう

成長ホルモン療法は基本的に身体の中に不足しているホルモンをおぎなう治療です。したがって、安全な治療方法だといえます。副作用はほとんどありませんが、体質によっては以下のような副作用が生じるケースもあります。症状があらわれたときは、すぐに担当の医師にご相談ください。

発疹

注射した場所の皮膚が赤くなったり、発疹ができる場合があります。また、全身に発疹を生じることもあります。むやみにかいたり、刺激を与えないようにしましょう。また、入浴の際はぬるめのお湯にするなどの工夫もよいでしょう。心配がある場合には、担当の医師にご相談ください。

注射部位のへこみ

同じ場所にばかり注射をしていると、その部分の皮下脂肪がへこんでしまうことがありますので、注射する場所は毎回変えるようにしてください。もし、へこんでしまったら、もと通りになるまでその場所に注射するのは止めましょう。心配がある場合には、担当の医師にご相談ください。

頭痛・吐き気・けいれん・視力障害

風邪や食あたりなどの症状とまちがえる場合もあり、成長ホルモンの副作用としての症状かどうか判断が難しいところです。しかし、まれに成長ホルモンにより頭蓋内の圧力が高まり、頭痛・吐き気などの症状を起こす場合があります。症状があらわれた場合はすみやかに担当の医師にご相談ください。

骨や関節の痛み

成長に伴って関節が痛むことがあります。これを一般に「成長痛」といいます。骨が急激に伸長する際に、骨端が充血したり、骨を包む膜が伸びるためともいわれていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。一時的なものがほとんどですが、大腿骨骨頭すべり症や骨端炎などの病気が生じている可能性もありますので、あまり長く痛みが続くようであれば担当の医師にご相談ください。

白血病

成長ホルモン療法がわが国で行われるようになって、すでに30年近くたちます。この間、成長ホルモンによる治療中もしくは治療後の患者さんから、白血病の発症が報告されました。

しかし、日米欧での調査の結果、成長ホルモンが白血病を引き起こすという直接的な証拠は認められず、現在では、成長ホルモン療法と白血病の因果関係については否定的な意見が大多数を占めています。しかし、心配がある場合には、担当の医師にご相談ください。

成長ホルモン療法が禁止されている病気、慎重に投与することが必要な病気

以下の病気を持っている患者さんには、成長ホルモンによる治療を禁止または慎重に行う必要があります。

糖尿病

糖尿病の患者さんは糖や脂質の代謝が悪化しているため、身長の伸びが悪くなります。成長ホルモンには、血糖を上げる働きがあるため、成長ホルモンを投与すると糖尿病が悪化するケースが報告されています。このことから、糖尿病を持っている患者さんに対しては、成長ホルモン分泌不全を伴っている場合であっても原則的に成長ホルモンの投与は禁止されています。

悪性腫瘍

成長ホルモンは細胞を増殖させる働きがあります。そのため、悪性腫瘍のある子どもに投与すると腫瘍細胞を増殖させる可能性があるため、成長ホルモンの投与は原則的に禁止されています。

一方、脳下垂体周辺にできた脳腫瘍による圧迫や、その腫瘍の摘出や放射線などの治療によって下垂体組織が損傷または喪失した場合、成長ホルモンの分泌不全がみられることがあります。この場合は腫瘍の摘出後、もしくは腫瘍の増殖を抑制した後、数年間再発が起こらないことを確認した上で、医師の判断によって成長ホルモン療法を行うことがあります。いずれにせよ、担当の医師とよく話し合ってください。

腎臓や心臓の病気

成長ホルモンは水分を身体にためる作用があり、腎臓や心臓に病気を持つ患者さんに投与するとむくみの原因になりますので、担当の医師と相談しながら十分な観察を行って成長ホルモン療法を行います。

なお、慢性腎不全による低身長症の子どもに対しては成長ホルモンによる治療が認められています。

脊椎側弯症

側弯症を持つ子どもに成長ホルモン療法を行うと、側弯の程度が強くなることがありますので、このような場合は担当の医師にご相談ください。

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