第17回 学校保健・保健活動セミナー 主催 ファイザー株式会社 後援 全国養護教諭連絡協議会・全国保育園保健師看護師連絡会・日本教育新聞社

講演報告 1

予防接種とその重要性

愛育こどもクリニック院長
門井伸暁 先生

予防接種の有用性は、感染症にかからない(発病阻止)、感染症にかかっても軽く済む(軽症化)、ほかの人に感染させない(流行防止)ことにある。そのため、ワクチンで予防できる病気(VPD:vaccine preventable diseases)については、接種により集団感染を防止する必要がある。

わが国と米国の医療環境を比較すると、わが国は医療機関を受診しやすい環境にあるにもかかわらず、米国に比べ予防医療に対する自己責任の意識が低く、ワクチンの同時接種も十分には普及していない。そこで、推奨したい「ワクチンスケジュール」は次のようになる。生後2ヵ月時にB型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの4種を同時接種し、4週後、これら4種のワクチンの2回目接種に加え、三種混合ワクチンを接種する。さらに4週後の生後4ヵ月にはヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの3回目と三種混合ワクチンの2回目の接種を行う。このように5種類のワクチンを生後4ヵ月までに接種し、その1週後にBCGの1回目を受けることで効率のよい接種が可能となる(図)。

図 0歳児における同時接種のスケジュール

ワクチンの接種勧奨のポイントは、スタート時期(生後2ヵ月)を明確にし、同時接種でより少ない受診回数で効率よく接種することである。また、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンも可能な限りBCGの前に接種することを勧める。そこで、懸念されるのが同時接種の安全性である。最近、ワクチンの同時接種、単独接種による死亡例が公表され心配される方も多いと思われるが、検証の結果、ワクチンとの因果関係は明らかではないと結論付けられた。死亡報告例が増加した背景には、一部ワクチンの無料化に伴い有害事象報告システムが徹底され、ワクチン接種との関連の有無にかかわらず、すべての副反応が報告されるようになったことも関係していることが考えられる。

当院でのアンケート形式の調査によれば、同時接種後の副反応は、12.4%(460例中57例)に認められた。その内訳は、不機嫌40%、発熱32%、局所反応(腫れ、赤み)28%であった。発熱について詳細にみると、持続期間は1日以内が85%、1~2日が15%で、39℃を超える発熱はみられず、約70%が37.5~37.9℃であった。単独接種における治験の副反応出現率が約10~30%であることを考えると、当院で認められた同時接種による副反応の頻度は決して高いわけではない。わが国でも同時接種が広がることが望まれる。

また、多くの子どもたちに予防接種を受けてもらうためには、各自治体で母子健康手帳交付時に周知する、産科施設や1ヵ月健診で接種勧奨をするなどの取り組みのほか、「こんにちは赤ちゃん事業」で生後4ヵ月までの乳児を持つ家庭を訪問する際に、予防接種の重要性を伝えることも大切である。また園や学校において保護者の方に分かりやすく説明することも必要である。そのためには、医師会・小児科医会が協力して保護者のニーズに応えられるような接種体制を整える必要があると考える。

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